金木犀
今週は久々に飛行機に乗って出張。
朝6時の電車に乗って、朝日の中で金木犀の香りをいっぱい吸い込みながら出かけました。(今回は鹿児島と熊本へ)
なんだか夏からここのところずっと忙しくて、24時間全てを使えるわけではないし毎日やれどもやれども消化不良気味で達成感が得られにくかった。(ずっとひとりで壁打ちしているようなイメージ)10月に入って、少しずつそんな状況が改善しているような思い。
先日お話した賢者が「アイデンティティの再構築」ということを言われて私は目が覚めた思いがした。
アイデンティティってどこか自分では変えられない、先天的なものだと思い込んでいた。自分から前向きに働きかけて、自分で構築していくというよりは生まれながらに持っているモノとどう折り合いをつけて、生きていくか。そんなイメージだったのです。もちろんアイデンティティにはそんな側面もあるけれど、それだけではなく自分が生きるその時々の状況や必要性に応じて変えていけるものなんだと。私にはそれだけで、すごく生きる希望みたいなものを感じた。(そもそも人間は生きているだけで数年レベルで細胞は全て生まれ変わり全く別人になっているしね。)
「私は変わらないひとつの連続的な存在である」認識って社会生活を生きる上では必要だけど、あまりそれにとらわれないようにしたいと改めて思いました。
そんななか、アート強化月間でもあるせいか?ここ数年でも素晴らしい曲に出会ってしまった。
Griff「One foot in front of the other」。エキゾチックな雰囲気のGriffは、中国とジャマイカをオリジンに持つ英国のアーティストで、なんと楽曲制作ソフトLogicを使い独学で楽曲制作とプロデュースを行なってきた弱冠20歳。余談だけれど同じく英国出身で音楽シーンを席巻しているDua Lipaもアルバニア系の出身だったり、最近食の世界でもこれまでとは違いアフリカ出身のシェフがパリで活躍していたりと、世界における多様性はますます加速しているようだ。 何よりもこれまでマイノリティとされてきた人々が自らの力で(しかもトップシーンで)活躍している姿が素晴らしい。
彼女の伸びやかで凛とした歌声と歌詞(勝手な印象だけれど宇多田ヒカルとテイラー・スウィフトを足して3で割った感じ?)に、ここ数年の楽曲で最も深い感銘を受けた。本当に美しい人でもある。そして不安な一歩を踏み出すことの不安さ、期待や希望に溢れたこの曲は、いま少しずつ元の世界に戻ろうとしている世界に多くのものを投げかける。
「One foot in front of the other」(一部抜粋)
Well it felt like I put one foot in front of the other today
なんだか今日やっと一歩進めた気がする
I stretched my arms out wide and it felt real strange
思い切り手を伸ばしてみるけどすごく変な感じがする
And then my legs they started shaking
And my hands they started quaking
足元が揺らいで、手が震え始める
'Cause things just take longer to heal these days
この頃、立ち直るのにすごく時間がかかるの
その曲を聞きながら鹿児島に着陸する時、機内から久しぶりの桜島を見て色々なことを思った。
3歳の時、家族3人で見たであろうその景色を、33年後にひとりで眺めている。いまはひとりで歩いていて、みんな別々の場所にいるけれど、とにかく健康でいられること。そのことに改めて感謝する。
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