旅はクリエイティブを磨いてくれる
いよいよ梅雨、本番!
蒸すのは苦手だけれど、ざんざん降れば降るほど「恵みの雨よ、もっと降れ〜」と心の中で小躍りしてしまう、梅雨好き人間です。いつもなら夏が待ち遠しいはずなのに、今年は上半期をどこか失ってしまったような心持で、夏が来て季節が巡るのがすこし怖いような気がします。

先週末は久々の出張で、発酵食の町・滋賀県へ行ってきました。
久しぶりの新幹線は最後尾の車両で密を避け、どちらかというと地域の人たちに感染を広げてしまうことを防止する意味で、マスクに除菌グッズなど完全防備で臨みました。でも、なんだろう。ここ数ヶ月自分が考えてきたこととか、それはそれで重要なんだけれど、もっと大きい歴史風土や長い時を越えて人々が作り上げてきた文化などに接するにあたり、なんて自分はちっぽけなんだろうという久々の感覚を持つことができました。どちらがより重要ということではなくどちらも大切で、要はバランスなんだなぁと。
そして思うのは、旅はクリエイティブを磨いてくれるということ。
普段暮らす生活圏や慣習から思いきり飛び出して、全く違う文化や環境の中に身を投じ、新しい人々と会い、対話する。松尾芭蕉先生が津々浦々旅をすればするほど良い歌を残されたように、養老孟司先生が新しい場所への物理的移動は脳の新しい場所を構築すると言われたように、そして福岡伸一先生が顕微鏡でミクロを見れば見るほど解像度が上がり世界はそれだけ広がるとおっしゃったように。旅は普段の思考回路に良い水を差し、かき混ぜ、また新しい日常を与えてくれる。
*そういえば家に帰ってから、滋賀県の湖北地方でこの時期に食べられる「焼き鯖素麺」なるものも作ってみました。鯖街道の影響を色濃く残す湖北地方で、嫁いだお嫁さんに焼き鯖を送る風習があったことから食べられてきた一品なんだとか。泣いてしまうね。

でも、物理的な旅ができないからクリエイティブが磨かれないかというとそうでもなくて、現在、日々の生活で私たちはオンラインを活用して思う存分「思考の旅」ができるようになりましたよね。これは本当に素晴らしい。生まれた時からこの恩恵にあやかれる世代を眩しく思う。
今年も残りはんぶん、ベース拠点は基本的にオンラインで、移動や出張は最低限に抑えつつ。
年々、暑さを増すけれど、暦の上ではもう立派な「暑中」。いつも以上に心身を整えて、迫りくる変化に柔軟に備えたいと思います。