K-POPのインクルーシブ戦略〜後半〜

なんだか最近は梅雨日(?)と夏日が交互に来る感じですが、淡々と晴れの日は公園、雨の日は雨具で大人しく晴れに備える、という感じに虎視淡々と迫り来る夏に向けて備えています。

ついに、来てしまった・・後半!

今朝も号泣しながらスッキリで「虹プロ」を観ていたけれど、前半よりもかなりオタク度と暑苦しさが増して読者が離れる可能性が高いですが、ここしばらく考えていたことを書きたいと思う。

・世界的プロデューサーJYPが仕掛ける現代のプロデュース論

huluとsony musicが手がける「虹プロジェクト」(通称「虹プロ」)、テレビなどで見かけた方も大変多いのではと思います。毎回放送されるごとにYouTubeでは各メンバーのまとめ動画などがひっきりなしにアップされ、それぞれが数十〜数百万回再生されるという異常な盛り上がりを見せており、いよいよ今週金曜に最終メンバーが発表される局面を迎えます。その詳細についてはもはやここでは書く必要はないと思いますが、何を隠そう私も「梨泰院」「不時着」ロスでボロボロになった心身の行き場を求めてスッキリで見始めたのがきっかけの完全なにわかファンです。が、ハマってからの情熱と時間のかけ方が我ながら尋常じゃない。毎晩仕事後に数時間にわたり夜な夜な関連動画をチェックし、現在K-POPを取り巻く状況(韓国内3大芸能事務所や傾向、ここ数年来の戦略展開など)を分析し、井上公造と勝手に呼んでいる芸能ネタ通の友人や10年来の「韓流」ファンと盛んに意見交換をし。。これはもうアイドルやK-POPのジャンルを超えて、完全にメンタルとフィジカルの限界に迫ったアスリートたちのスポ根物語である。思えばこの1ヶ月は「虹プロ」のおかげで本当に充実した時間を過ごせました。今週金曜の最終発表は、ある意味私の生活においても大きな一区切りにもなるのです。(ちゃんと仕事もしていますよ)

そしてこの一大プロジェクトを手がけるのが、自身も齢50手前にして現役エンターテイナーであり、これまでWonder Girls、missA、2PM、TWICEなどの著名グループを輩出してきた敏腕プロデューサーJYPことJ.Y.Park(パク・ジニョン)です。ここでプロデュースすることとそれを実演(パフォーム)することがいかに違う能力であるについて触れたいのだけれど、音楽、映画やドラマなどのエンタメに限らず、通常のクリエイティブ制作等においても、必ずと言って良いほどプロデュースとパフォーム(もしくはデザイン、演出など)を担当するスタッフは分かれているケースが多い。なぜか。それはプロデューサーに求められるスキルや職能と、パフォーマーに求められるそれが完全に性質の異なるものだから。ざっくり右脳と左脳の役割ぐらい違うと言っても差し支えないほど違う。だからこそ、それを両方できてしまう人が本物の"天才"なのだろうし、JYPは間違いなくその1人だと思う。

・韓国語(表音言語)とPOPの親和性

ここで前々からJ-POPに対して感じていた違和感について触れたい。幼少時から親の影響で割と海外の音楽を聞く機会が多く(THE BEATLESで育ちました)、完全に英語楽曲に憧れて育った私としては、日本語という言語が持つ性質が、そもそもPOPの性質(音感やリズムなど)と相性が良くないのではと思う機会が多々あった。それもそのはずで、日本語は「表意言語(文字通り意味を表現する読み書きの言語)」で、それにはアラビア語なども含まれる。詩吟などを別として、一気にPOP感(音楽に言葉を乗せる)のハードル高そうじゃないですか?対して、韓国語は「表音言語(文字通り音を表現する言語)」で、まさに英語のアルファベットなどと同じ括りなのですよね。K-POPの表現の可能性は、おそらく日本語でPOP MUSICをやるよりも言語的な制約が少ないと想像する。(これは韓国語を習得してみないとわからないことでもある。韓国語勉強してみようかなぁ)前出のJYPをはじめとして、彼がプロデュースするグループのメンバーは総じて英語力も高く、才能があることは間違いないとしても、日本人も強烈に巻き込んでいくPOP MUSICシーンを特にここ10年来席巻してきた背景には、言語の特性も非常に大きいと思う。(ここは最近考えているテーマ「言葉が社会をつくる」にも通ずるのでまた改めて書きたいと思う)

・JYPが取る次世代のインクルーシブ戦略

そしてプロデューサーJYPに話を戻したい。韓国エンタメの近年におけるインクルーシブ(誰でも参加できる、巻き込むような手法)については前回の記事でも触れたのだけれど、とにかくJYPの哲学と戦略が素晴らしくて、私はもはや「虹プロ」のメンバーよりもJYPが推しになっています。笑 彼は数々の名言を残していることでも有名なのだけれど、その中でも「K-POPを展開するのに、必ずしも韓国人が歌う必要はない」という言葉に脱帽してしまった。そんな彼は英語が流暢なことはもちろん、「虹プロ」開始に合わせて日本語を習得し、日本の視聴者やメンバー候補生に対しては極力日本語で語りかけている。日本でいま、この視座で事業を展開できる人は果たして何人いるだろうか?また数々の著名アーティストを輩出し多数の入門希望者を控えるJYP entertainmentでは、ダンスやボーカルのスキル・才能だけでなく学校の成績や「人柄」も重視するといい、社訓(?)は「誠実・真実・謙虚」。本人も30年以上現役のパフォーマーでもあり、最前線に立ち続けることの厳しさと情熱が伝わる。本当はこれ以外にも多くの名言があり、個人的には切にJYP集の企画出版を願って止まないのだけれど、今回文字数が異様に長すぎるため、最後に彼が直近プロデュースしたとても面白いユニットを紹介したい。

・"wanna be ME"を高らかに歌う次世代のユニット「ITZY」

最後に、去年JYPがプロデュースしたITZY(イッジ)というユニットを紹介したい。というのも、このユニットからは次世代のブランド戦略、コミュニケーション&SNS戦略のヒントが詰まりまくっていて、本当に唸ってしまうし個人的に大好きだから(笑)5人で結成されたITZYにはいわゆる"アイドル"らしさはなく(本人たちや事務所にもその認識はないはず)、あらゆるシーンでにこりともせずどちらかというとこちら側を睨みつけている。彼女たちをパッとみたときに、近年の「怒れる若者」ともいうべき世界の潮流(著名人ではグレタさんや、今年グラミー賞最年少4部門を制覇したビリー・アイリッシュ、日本でいうとあいみょんかな?)を感じた。彼女たちのスタイルは「ガールクラッシュ」的(女性の枠を超えた、カッコいい)であり、でも肩肘はらずに楽しみながら本気でダンスがうまく(本当にうまい)、めちゃくちゃカッコいいのである。そんな彼女たちの歌詞は「DALLA DALLA(私はみんなとは違う、特別な存在)」や、「I wanna be ME(私はなにものでもなく、自分になりたい)」という強烈な自己承認で溢れつつも、社会に反抗したり、ひとりで生きていくのではなく、周りとの繋がりも歌っている。(「Single Ladies」で一斉を風靡したビヨンセもびっくりだと思う)この絶妙なバランス感覚は、これまでありそうで実は全然なかったんですよね。

・「ITZY」が取る次世代のブランド& SNS戦略

彼女たちのMVひとつとっても、いかにもSNS的で不安定だけれども臨場感のあるカメラワークや構成、YouTubeは公式にもかかわらず同じ楽曲でいくつも動画がアップされていて(dance practice動画や変装して踊ったり、メンバーのポジションを変えて踊るものなど)、多くのアーティストが完成された「表」しか見せないのに対して、友達同士で踊って気軽にアップした感じの公式動画が1楽曲につき5〜6個あり、情報量が爆増し、SNS滞在時間が増え、それをシェアすることで1つのカルチャーシーンが作られていく現代の背景を本当に知り尽くした戦略だと感じた。(手越さんが記者会見で、色々やりたいのに事務所の対応が遅いと言っていたのも鮮やかに思い出される)もはや「表裏」の使い分けが存在し得ない時代において、JYPが重視する「人柄」をきちんと「表」だけではなく、友達のような感覚で「裏」まで魅せつつ、きちんとファンを獲得していく姿勢。。本当に勉強になりました。最後に、世界で2億回再生されている彼女たちのMVを載せたいと思う。

♪ ITZY 「DALLA DALLA」

さぁ、いよいよ明日は「虹プロ」最終回ですね!

本来であればパブリックビューイングしたいぐらいなのですが笑、それぞれの自宅で楽しみましょう〜。

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