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死ぬまでに一度、二郎さんのお寿司が食べたい
「二郎は寿司の夢を見る」(監督:デヴィッド・ゲルブ)
ミシュラン史上最高齢の三ツ星受賞シェフの小野二郎さん(現在91歳)。
安倍首相がオバマ大統領をお連れしたことでも有名な、「すきやばし次郎」の寿司職人です。
とても面白かったのが、アメリカ人監督・ゲルブ氏の視点。
いかにゲルブ氏が二郎さんの技に惚れ込んで惚れ込んで、その一瞬に集中していたかが伝わってくる。
見慣れた銀座や築地の風景も、一度アウトサイダーの言語を通してみると、全く違う景色に見える。日本の再体験。これはいま日本人があらゆる局面で求めているものでもある。
9歳で奉公(修行)へ出て、父親ともそれっきり。
どんなに道を極めたとしても、まだその上がある、もっと上へ、その一心で80年以上やってきた。
デジタル化や効率化が急激に進む日本のなかで、それだけでは計りしれない価値を作り続けること。
近い将来、二郎さんと全く同じお寿司を作れるAIロボットが出てきても、私は息子の禎一さんが素手で焼いた焼き海苔で、二郎さんが握ってくれたお寿司を選ぶんじゃないかな。
「お前はいま、今日のこのときを本気で生きているか?」
カメラを真っ直ぐ見つめる二郎さんに、そう問いかけられる気がした。
二郎さんを支えるお二人の息子さんの夢と苦悩もまた、素晴らしい。
80年以上もの時を費やして、まだ未完成。
徹底的にこだわってやっているけど、採算度外視で儲けのためにはやっていない。
月並みな表現ですが、日本ってやはり面白いなと思います。